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2.7.2.1 ホールドフレームを支えるロンジフレーム
近年、大型バルクキャリアに狂いて、トップサイドタンク内の最下部のサイドロンジ、すなわちホールドフレームを支えるサイドロンジに、第2世代VLCCで問題になったものと類似のクラックが生じる損傷が見られた(図2.7.1)。
概略の検討によると、サイドロンジにクラックを発生させるような積付状態は、鉱石のALTERNATE LOADINGのように、ホ―ルドフレームが船外からの波浪荷重のみを受け、倉内からの力を受けないような場合であることが分かる(図2.7.2)。クラックの発生は、この波浪外力の変動によるものと考えられる。そこで、このような場合の疲労強度算定法を検討した。

 

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図 2.7.1 サイドロンジのクラック損傷例

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図 2.7.2 クラックを発生させる積付

 

(a) 波浪荷重の長期分布は、ほぼ指数分布とみなせる。そこで最も簡便な方法としては、あと、想定就航期間における最大変動荷重を求めればよいことになる。今回も、国内ではよく用いられているNKの与える波浪変動荷重をべ一スとして推定することにしたが、従来行われてきた疲労強度検討における、この荷重の適用は、必ずしも妥当なものとは考えられないことが分かった。今回の調査によると、NKの波浪変動荷重は、北大西洋を対象とした場合、発現確率10-5の程度のものと推定される(図2.7.3)。
ここで注意しておかなければならないことは、最近のVLCCに歩ける船側荷重の性状の調査から注目されるようになった、水線面近傍における空中露出に係わる、いわゆる非線形性の問題である。NKの波浪変動荷重は、図解により表示する方法がとられたため、20年以上も前に規定されたものにもかかわらず、この非線形性が正しく反映されていると考えられることである。したがって、その発現確率の推定に当たっては、この点を正しく扱う必要がある。今回の場合、この空中露出の問題は、VLCCのサイドロンジの場合のように単純ではなかった。変動荷重の作用する部材がホールドフレームで、深さ方向に広い範囲にわたったからである。こうした場合の非線形性の取扱いについて、一つの方法を提示した。
(b) 部材に生じる応力の算定は、簡易的な方法としては、構造解析から得られる梁要素としての応力に、いわゆる当該ホットスポットの構造的応力集中率を乗じることによる。ここでは、NKのDOUBLE HULL TANKER用規則に示されている係数を用いる方法を例示した。これに船体縦曲げによる応力を合成して疲労用の応力を求める。累積被害度算出の便のため、最終的にはワイブル分布に近似するが、図で示すと図2.7.4のようになる。
(c) SN線図は、SR216で提案されたものを、UK.DOEのカ―ブに準じて修正したものを用いることにした(図2.7.5)。

 

 

 

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